オリンピックで沸いたロンドン。
ロンドン近郊の田舎町“ファンボロー”。
そこでは、一週間で20万人もの人が訪れる巨大イベントがありました。
国際航空ショーです。
国産旅客機MRJ飛翔 [ハードカバー] / 前間 孝則 (著); 大和書房 (刊)
アクロバット飛行・ジェット戦闘機・・・
2年に一度開かれる世界最大の航空機ショー“ファンボロー国際航空ショー2012”です。
軍用機から民間機まで、46か国・140機以上が出展されています。
本来は、ショーではなく、ビジネスが主です。
売り込み合戦をしていました。
圧倒的なのが、エアバスとボーイング。
エアバスの目玉は、世界最大の旅客機・エアバスA380。
総二階建てで、座席数525。
まさに、空飛ぶホテルで、広い客室空間が売りで、椅子は、ボーイングより5㎝大きいです。
ボーイングは、787で対抗。
東レなど日本メーカーが生産に35%関与し、開発した炭素繊維で燃費効率を向上したことで話題となりました。
窓は、エアバスより4割ほど大きくなっています。
激しい受注合戦の中、見慣れない模型がありました。
それは、日本の企業でした。
三菱リージョナルジェット、通称MRJです。
そしてその模型は、日本メーカーが50年ぶりに作った悲願の“日の丸ジェット”です。
1機34億円を世界に売り込みます。
では、どうして日本は飛行機を作っていないのでしょうか?
YS-11・・・
これは、50年前に飛び立った日本初の国産旅客機で、戦後日本の復活の象徴でした。
もともと日本は、戦闘機大国でした。
その代表が、ゼロ戦。。。
開戦直後は、向かうところ敵なしといわれていました。
しかし、敗戦後・・・
1945年GHQにより航空禁止令が出されました。
これによって、日本の飛行機は、すべて解体され、新しく作ることも禁じられました。
日本の技術が途絶えた空白の7年が始まりました。
禁止令が解除され、YS-11が作られました。それが、今から50年前のことです。
操縦の安定性、機体の頑丈さが評価され、日本だけではなく世界の航空会社が利用しましたが、採算が取れずに・・・
1972年、YS-11の生産が打ち切られてしまいました。
よみがえれ!国産ジェット [単行本] / 杉山 勝彦 (著); 洋泉社 (刊)
それから40年・・・
YS-11以来の航空機の製作に三菱重工が名乗りを上げました。
かつてゼロ戦が作られた場所で・・・。
国産航空機開発のために、技術者約800人。
航空機設計の兵たちが集まりました。
先進国の中で、唯一航空機産業のない国にならない為に・・・。
MRJ 三菱リージョナルジェット・・・座席数70~90席以下の小型旅客機です。
新規参入を図るために差別化できるのは、燃費の部分。
掲げたのは、燃費効率ライバル比20%アップ。
こだわったのは、主翼部分でした。
他の機種に比べると、薄めの機体により空力性能が変わり、燃費効率は向上します。
その科アナ目となるのが先端に取り付けられる小さな翼“ウイングレット”で空気抵抗をなくします。
それは、100分の1ミリの世界でした。
リージョナル(地域)ジェット市場は、5000機、総額17兆円と言われています。
リージョナル・ジェットが日本の航空を変える [単行本] / 橋本安男, 屋井鉄雄 (著); 成...
リージョナルジェットとは???
地方をピンポイントで結ぶ旅客機で、地方空港の路線に大きな市場の可能性を秘めています。世界的に、そういった考えになってきています。
ライバルは???
ボンバルディア(カナダ)
エンブラエル(ブラジル)
この2社が独占しています。
しかし、まだMRJは、実機がありません。
厳しい状況です。
リージョナルジェットの本場アメリカでは、受注合戦が行われていました。
なぜなら、世界のリージョナルジェットの50%は、アメリカの空を飛んでいるのです。
ファンボロー航空ショーでMRJの受注を受けるためにビジネスに励みます。
MRJは、1機34億円。採算ラインは350~400機ですが、苦戦しています。
100機発注してくれたTSHは・・・
北米で毎日500便以上を運航しています。
購入の決め手となったのは、
整備費用が少ないこと。
燃費がいいこと。
新しい飛行機で乗客が喜ぶこと。
そして、メーカー側のアフターサービス。
だそうです。
きめ細やかなアフターサービスが。
実物大の客室は、ゆったりとしています。
快適性に気を配っているそうです。
決戦の地・イギリス・ファンボローでは・・・
三菱MRJの機体の客室が展示されていました。
客室はこのクラスの飛行機では最大で、大きなスーツケースが入り、エコノミーシートも広く感じます。
エンブラエル、ボンバルディアもアピール合戦です。
この市場を目指すのは、他にもロシア・スホーイスーパージェット100で・・・
中国も、中国商用機AB,121。
三菱の、記者会見ではどうやって受注をとるのか?厳しい質問が・・・。
なかなか受注は難しいそうです。
7月11日
MRJが会見を開きました。
そこには、世界最大手のスカイウエストがMRJ100機受注というビッグニュースが!!
突然のニュースでした。
およそ、3400億円の受注。これにより、トータル受注数は230機となりました。
MRJは、2013年初飛行、2015年には運航開始を目指しています。
世界最大のリージョナル航空が、MRJを評価して買ったという事実・・・
これを全世界は見ています。
今後に期待が膨らみます。
悲願の日の丸ジェット・・・
ボーイング・アメリカのシアトル、エアバスの拠点フランスのツールーズに続き、名古屋が世界三大航空拠点になる日も近いかもしれません。
そうなると・・・名古屋が活気づくことでしょう。
製造に必要な部品数は、自動車では3万点ですが、MRJとなると95万点です。
技術のすそ野が広くなる分、いろいろな波及効果が出てくることでしょう。
航空機は、技術水準が高いといえます。
付加価値の高い仕事が、中小企業や部品メーカーに流れていく可能性もあります。
もしかすると、日本の航空機産業と自動車産業の融合など、相乗効果があるかもしれません。
その拠点化に向けて、動き出しています。
名古屋では・・・
JAXAの新型飛行機が披露されました。
日本の実験用航空機“飛翔”です。
異業種メーカーの参入もあります。
航空技術者育成セミナーに参加したのは、地元の自動車関連の中小メーカーでした。
MRJは、モノづくり日本が飛躍するための、大きな一歩かもしれません。
飛翔への挑戦―国産航空機開発に賭ける技術者たち [単行本] / 前間 孝則 (著); 新潮社 (刊)
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ロンドン近郊の田舎町“ファンボロー”。
そこでは、一週間で20万人もの人が訪れる巨大イベントがありました。
国際航空ショーです。
国産旅客機MRJ飛翔 [ハードカバー] / 前間 孝則 (著); 大和書房 (刊)
アクロバット飛行・ジェット戦闘機・・・
2年に一度開かれる世界最大の航空機ショー“ファンボロー国際航空ショー2012”です。
軍用機から民間機まで、46か国・140機以上が出展されています。
本来は、ショーではなく、ビジネスが主です。
売り込み合戦をしていました。
圧倒的なのが、エアバスとボーイング。
エアバスの目玉は、世界最大の旅客機・エアバスA380。
総二階建てで、座席数525。
まさに、空飛ぶホテルで、広い客室空間が売りで、椅子は、ボーイングより5㎝大きいです。
ボーイングは、787で対抗。
東レなど日本メーカーが生産に35%関与し、開発した炭素繊維で燃費効率を向上したことで話題となりました。
窓は、エアバスより4割ほど大きくなっています。
激しい受注合戦の中、見慣れない模型がありました。
それは、日本の企業でした。
三菱リージョナルジェット、通称MRJです。
そしてその模型は、日本メーカーが50年ぶりに作った悲願の“日の丸ジェット”です。
1機34億円を世界に売り込みます。
では、どうして日本は飛行機を作っていないのでしょうか?
YS-11・・・
これは、50年前に飛び立った日本初の国産旅客機で、戦後日本の復活の象徴でした。
もともと日本は、戦闘機大国でした。
その代表が、ゼロ戦。。。
開戦直後は、向かうところ敵なしといわれていました。
しかし、敗戦後・・・
1945年GHQにより航空禁止令が出されました。
これによって、日本の飛行機は、すべて解体され、新しく作ることも禁じられました。
日本の技術が途絶えた空白の7年が始まりました。
禁止令が解除され、YS-11が作られました。それが、今から50年前のことです。
操縦の安定性、機体の頑丈さが評価され、日本だけではなく世界の航空会社が利用しましたが、採算が取れずに・・・
1972年、YS-11の生産が打ち切られてしまいました。
よみがえれ!国産ジェット [単行本] / 杉山 勝彦 (著); 洋泉社 (刊)
それから40年・・・
YS-11以来の航空機の製作に三菱重工が名乗りを上げました。
かつてゼロ戦が作られた場所で・・・。
国産航空機開発のために、技術者約800人。
航空機設計の兵たちが集まりました。
先進国の中で、唯一航空機産業のない国にならない為に・・・。
MRJ 三菱リージョナルジェット・・・座席数70~90席以下の小型旅客機です。
新規参入を図るために差別化できるのは、燃費の部分。
掲げたのは、燃費効率ライバル比20%アップ。
こだわったのは、主翼部分でした。
他の機種に比べると、薄めの機体により空力性能が変わり、燃費効率は向上します。
その科アナ目となるのが先端に取り付けられる小さな翼“ウイングレット”で空気抵抗をなくします。
それは、100分の1ミリの世界でした。
リージョナル(地域)ジェット市場は、5000機、総額17兆円と言われています。
リージョナル・ジェットが日本の航空を変える [単行本] / 橋本安男, 屋井鉄雄 (著); 成...
リージョナルジェットとは???
地方をピンポイントで結ぶ旅客機で、地方空港の路線に大きな市場の可能性を秘めています。世界的に、そういった考えになってきています。
ライバルは???
ボンバルディア(カナダ)
エンブラエル(ブラジル)
この2社が独占しています。
しかし、まだMRJは、実機がありません。
厳しい状況です。
リージョナルジェットの本場アメリカでは、受注合戦が行われていました。
なぜなら、世界のリージョナルジェットの50%は、アメリカの空を飛んでいるのです。
ファンボロー航空ショーでMRJの受注を受けるためにビジネスに励みます。
MRJは、1機34億円。採算ラインは350~400機ですが、苦戦しています。
100機発注してくれたTSHは・・・
北米で毎日500便以上を運航しています。
購入の決め手となったのは、
整備費用が少ないこと。
燃費がいいこと。
新しい飛行機で乗客が喜ぶこと。
そして、メーカー側のアフターサービス。
だそうです。
きめ細やかなアフターサービスが。
実物大の客室は、ゆったりとしています。
快適性に気を配っているそうです。
決戦の地・イギリス・ファンボローでは・・・
三菱MRJの機体の客室が展示されていました。
客室はこのクラスの飛行機では最大で、大きなスーツケースが入り、エコノミーシートも広く感じます。
エンブラエル、ボンバルディアもアピール合戦です。
この市場を目指すのは、他にもロシア・スホーイスーパージェット100で・・・
中国も、中国商用機AB,121。
三菱の、記者会見ではどうやって受注をとるのか?厳しい質問が・・・。
なかなか受注は難しいそうです。
7月11日
MRJが会見を開きました。
そこには、世界最大手のスカイウエストがMRJ100機受注というビッグニュースが!!
突然のニュースでした。
およそ、3400億円の受注。これにより、トータル受注数は230機となりました。
MRJは、2013年初飛行、2015年には運航開始を目指しています。
世界最大のリージョナル航空が、MRJを評価して買ったという事実・・・
これを全世界は見ています。
今後に期待が膨らみます。
悲願の日の丸ジェット・・・
ボーイング・アメリカのシアトル、エアバスの拠点フランスのツールーズに続き、名古屋が世界三大航空拠点になる日も近いかもしれません。
そうなると・・・名古屋が活気づくことでしょう。
製造に必要な部品数は、自動車では3万点ですが、MRJとなると95万点です。
技術のすそ野が広くなる分、いろいろな波及効果が出てくることでしょう。
航空機は、技術水準が高いといえます。
付加価値の高い仕事が、中小企業や部品メーカーに流れていく可能性もあります。
もしかすると、日本の航空機産業と自動車産業の融合など、相乗効果があるかもしれません。
その拠点化に向けて、動き出しています。
名古屋では・・・
JAXAの新型飛行機が披露されました。
日本の実験用航空機“飛翔”です。
異業種メーカーの参入もあります。
航空技術者育成セミナーに参加したのは、地元の自動車関連の中小メーカーでした。
MRJは、モノづくり日本が飛躍するための、大きな一歩かもしれません。
飛翔への挑戦―国産航空機開発に賭ける技術者たち [単行本] / 前間 孝則 (著); 新潮社 (刊)
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