幻の宰相小松帯刀伝 [ 瀬野富吉 ]

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(2017/1/19 18:27時点)
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1866年、京都のとある場所で・・・密約がなされました。
薩長同盟です。
あまりにも有名な伝説・・・
西郷隆盛と木戸孝允、面子を気にして同盟を切り出せない二人を坂本龍馬が一喝!!
同盟成立に導いたというストーリーですが・・・
近年、歴史は見直されつつあります。

ひとまず幕府に従うべきだという西郷、これ以上過酷な処分は受けないといいはる木戸・・・。
意見は食い違い、薩長は決裂寸前となっていました。
暗礁に乗り上げた交渉をまとめ上げたのは・・・龍馬ではない・・・もう一人のキーマン・・・小松帯刀!!
薩摩藩の若き家老です。

「薩摩での人物はまず小松である」by龍馬
「私が一番知っている日本人で、一番魅力ある人物」byアーネスト・サトウ
「薩摩藩の製作は、ほとんど小松が立案している:by海舟

万難を配し、長州との同盟に踏み切った帯刀、知られざるその構成期とは・・・??

小松帯刀・・・帯刀本人が愛用した薩摩琵琶。
帯刀は、若い頃、寝食を忘れてこの楽器に熱中しました。
心配した家臣が、先祖の功績に恥じぬ生き方をせよと忠告すると、涙ながらに琵琶をしまい、二度と手に取ることはありませんでした。
藩主・島津家に並ぶ名門に生まれた帯刀・・・幕末の動乱へ・・・!!

1853年黒船来航

開国を迫ります。
圧倒的な武力の前に、開国に踏み切る幕府。
この先・・・欧米諸国とどう向き合うのか・・・??
薩摩藩は、他国に先んじて、富国強兵に乗り出していました。
藩主・島津斉彬は、反射炉を建設し、大砲鋳造に乗り出します。
21歳の帯刀は、斉彬の隣で産業育成に関わります。
この経験が、帯刀の目を開きました。
壮大な造船業、製鉄業、紡績業が、鹿児島に次々に生じていきます。
日本を変えていくためには殖産興業・富国強兵だ・・・!!
自立しながら日本全体を守っていかなくては!!

斉彬の後、権力の座に就いたのは弟・久光でした。
久光は、帯刀を僅か28歳で家老に昇進させます。
家老になる1年前・・・1861年には藩命により長崎へ・・・異国人から蒸気船を学びました。

当時アメリカでは・・・1861~1865年まで南北戦争によって品薄となっていた綿・・・これに目をつけて、西国諸藩から綿を買い取って輸出!!
売り上げは18万両にのぼりました。
その利益を手に、海軍の建設に乗り出しました。
この年、薩摩藩は、5隻の蒸気船を購入しています。
同じ頃、運命的な出会いが・・・坂本龍馬です。
神戸海軍操練所の閉鎖に伴って行き場を失っていた龍馬を、帯刀は薩摩に引き取ります。
顔が広く、抜群の政治センスを持つ龍馬は、帯刀の元で、薩摩外交の一翼を担うようになります。
彼らの共通の理想・・・それは、雄藩連合です。
これまで幕府では、一部の譜代大名が政治や外交を独占!!
外様はカヤの外でした。
薩摩は、有力大名が手を組む雄藩連合を構想、実現に向けて動き出していました。
帯刀は久光の代理として京都での工作を任されます。
そこで直面したのが長州をめぐる政局でした。
その頃長州は、異国を打ち払うべしとし、外国船への砲撃を決行!!
一部の公家と結びつき、通商条約の破棄を工作していました。
幕府側は激しく反発し・・・その中心が、禁裏御守衛総監・一橋慶喜、京都守護職・松平容保、京都所司代・松平定敬でした。
薩摩はこの時幕府側について、長州と蛤御門で戦い、撃退します。
慶喜はこれに乗じて、長州排除に動きます。15万の征討軍を動かし、長州国境に迫りました。
第一次長州征伐です。

ところが・・・ここに及んで薩摩は態度を一変!!
1864年10月、上京した帯刀は、慶喜に征伐中止を宣言しています。
「ここで内乱を起こすことは、植民地化を狙う諸外国の思うつぼ・・・!!」
この薩摩の方針の変更は、京都におけるパワーバランスによるものだと思われます。
一会桑は、有力藩を国政運営に加えたくない・・・
薩摩は加えたくない・・・??
勢力との深刻な対立。。。
長州を敵に回すのではなく、恩を売っておくほうが得策なのではないか・・・??

薩摩は事態収拾へと動きます。
禁門の変を主導した長州の三家老を処刑し、幕府へ謝罪するように打診・・・。
長州がこれを受諾したことで、第一次長州征伐中止。
振り上げた拳の行先の無くなった慶喜は、苦々し気に吐き捨てます。
「芋に酔うのは酒に酔うより甚だし」と。

薩摩への警戒を強める慶喜、再起へ虎視眈々の長州、その中で京都での工作に励む小松帯刀・・・
幕末は、いよいよ風雲急を告げる・・・!!
1865年、幕府側の巻き返しが・・・
三家老の処刑では処分は済んでいないとし、将軍家茂率いる15万の軍が大坂へ・・・!!
第二次長州征伐です。
長州は、開戦を覚悟しました。
しかし、幕府は諸外国に対し、武器を売らないように要請します。
長州は、絶体絶命の窮地に陥りました。
この時の、帯刀の決断とは・・??

薩摩名義で7,300丁もの銃を購入し、長州に斡旋したのです。
長州の使者に対して・・・
「幕府の嫌疑など意に介していない。
 如何なることでも尽力する。」
この時帯刀は、幕府を排除した新しい政治体制を模索していました。

薩摩は長州との更なる提携の道を探るべく使者を派遣!!
うけて翌年、長州藩・木戸孝允が上京!!
交渉の場は、帯刀の宿舎・御花畑・・・藩邸を避けたのは、幕府に嫌疑を起こさせないための薩摩側の配慮でした。
1866年1月・・・交渉が始まりました。
帯刀の元で交渉を担当したのは西郷隆盛!!
西郷は、幕府側に対する武力も辞さない強硬派として知られていました。
しかし、会談の冒頭に発したのは・・・
「ここはまず、幕府の処分を甘んじて受け入れよ」でした。
この時点で、幕府は長州に対し藩主親子の隠退、領地10万石削減・・・を通告する見通しとなっていました。
過酷な処分を受け入れよという西郷・・・
そこには、国父・島津久光の意向がありました。

久光は、京都藩邸に使者を送り、藩士たちに厳しく自重するように命じてます。
西郷と帯刀は、長州に対して朝敵の汚名を晴らす政治工作はできても、幕府への武力行使はできない状況に追い込まれていたのです。
しかし、長州は既に臨戦態勢・・・更なる条件など受け入れられない・・・。
三家老の首級で住んでい入るはずでは・・・??
軍事支援か?政治的解決か・・・??
薩摩に置いて、久光は絶対でした。

交渉を打ち切るか・・・??
同盟締結に向かう・・・??

1866年1月20日、暗礁に乗り上げた交渉は・・・思わぬ展開に!!
きっかけは龍馬!!
御花畑に到着し、薩長両藩に交渉の継続を求めます。
龍馬の働きかけで交渉は続けられ、後は帯刀次第・・・
「私の思いが小松、西郷に通じた。感謝に耐えない・・・」by孝允
帯刀は、処分を突っぱねて、幕長戦争に突っ走る木戸の主張を受け入れたのです。
ここに、薩長同盟が成立!!

木戸の書簡には、6か条にわたって盟約の詳細が・・・

若し、幕府と長州は戦争となった場合、薩摩は二千の兵を上京させ、京都、大坂を固める!!
薩摩は朝廷に働きかけ、長州の朝敵の汚名を晴らすべく尽力する!!

ここまでは、久光にとっても許容範囲ですが・・・

第五条には・・・
一(橋)会(津)勢力総勢力がこれまでのように、長州の復権を遮る場合は決戦に及ぶ・・・
つまり、決戦条項です。
久光の指示に反するかのような条文・・・そこには巧妙なロジックが隠されていました。

一会桑・・・つまり、幕府とは一言も言っていません。
薩摩が生き残るためには、長州を絶対滅ぼしてはならない!!
軍事同盟ともそうでないともとれるこの密約は、帯刀苦心の結晶でした。

1866年6月、幕長開戦!!
ついに戦闘状態に・・・!!
帯刀のあっせんした最新兵器の威力は凄まじく、長州は四方からの15万の幕府軍を撃退!!
1867年5月、京都・二条城に将軍・慶喜と久光ら有力諸侯が集まり、長州の戦後処理について話し合われました。
帯刀の書簡には・・・久光の言葉が・・・
「三家老の首級を差し出したことで、謝罪は済んでおります。」
同盟交渉の場での、木戸孝允の言葉を久光が口にしたのです。

同盟締結から1年余り・・・帯刀がいかに久光を説得したのか・・・その真相は全くわかっていません。
しかし、この時、確かに歴史は動いたのです。

薩長同盟は、その後の歴史を大きく変えました。
1868年1月3日、鳥羽伏見の戦い・・・薩長中心とする新政府軍と旧幕府軍が激突!!
新たな国家を作る戦いが始まりました。
しかし、そこに帯刀の姿はありませんでした。
この頃、持病の足の痛みが悪化し、鹿児島に戻っていました。
戦いを遠くから見守ることしかできませんでした。

「天下の大事に後れたこと、実に残念でならない。」

しかし、討幕戦争のさなかにも、帯刀は新政府の構想を・・・
より装飾性の高めた薩摩焼を作り、欧米の人にも賛美されるように・・・
薩摩焼は、1867年のパリ万博に出展されています。
その機を逃さないように・・・!!
繊細な薩摩焼は、ヨーロッパの上流階級に珍重され、ジャポニスムの潮流を巻き起こします。
宮殿などの装飾品として注文が殺到!!
当時、ヨーロッパでは日本の陶器はすべて薩摩と呼ばれるほどの人気でした。
殖産興業・・・帯刀の夢が、世界に飛翔した瞬間でした。

しかし、その夢の実現を帯刀が見ることはありませんでした。
1870年7月20日・・・病のために36年の短い生涯を閉じたのです。
維新の大業のために、命を燃やし尽くした帯刀・・・顧みられることのなかったその功績に、近年、ひかりが当たりつつあります。



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