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ヨーロッパを一つにしようという大きな理想の下で進められてきたヨーロッパ統合・EUへの道。。。
いま、大きな岐路に立たされています。
どうしてEU=欧州連合は作られることになったのでしょうか?
一番最初の目的は・・・??
国境のない世界・・・戦争のない世界を作ろうとしたのです。
この大理想で始まったのです。
1914年第1次世界大戦があり、ヨーロッパは主戦場となりました。
毒ガスがどんどん使われ・・・悲惨な事態となりました。
第1次世界大戦後、二度と戦争が起きないようにしよう・・・しかし、またもや第2次世界大戦が起こり、ヨーロッパは焼け野原となってしまいました。
もう・・・二度と戦争は止めよう・・・ということで、”ヨーロッパを一つの国に”しようとしたのです。
そんな理想のもとに、各国がそれぞれの利害を超えて一つになるという動きが始まりました。
きっかけはドイツとフランスの関係。。。
二国が仲が悪く・・・その原因は、アルザス・ロレーヌ地方でした。
フランス語圏とドイツ語圏が入り乱れているこの辺り、豊富な石炭も出ます。
石炭・鉄鋼業が盛んで・・・武器・戦車を作ることができます。
ここを押さえることができれば、よーろっぱで一番強い国になれる・・・!!
と、ドイツとフランスが争っていたのです。
第2次世界大戦後、ドイツは西と東に分割され、戦争で経済が弱くなってしまいました。
どうにかして、アルザス・ロレーヌ地方で再び石炭を採り、鉄鋼業を盛んにして経済を立て直したい!!
それに反対するフランス。
これを見ていた周りの国々は・・・??
西ドイツが勝手なことをしないように周辺国で管理する仕組みを作ろう!!
となり、1951年石炭と鉄鋼を共同管理する「ECSC 欧州石炭鉄鋼共同体」ができます。
ECSC=フランス・西ドイツ・イタリア・ベルギー・オランダ・ルクセンブルク
もう一つの共同体がEuratom=欧州原子力共同体です。
原子力発電所を作る・・・そのために、一緒になって原子力の研究をしようというものでした。
原子力発電所をコスト安で、安全なものを作るために・・・。
この加盟国がどんどん増えていき・・・EUとなるのです。
これらを統合し、EEC=欧州経済共同体ができます。
関税を少しでも減らすために。。。
自国の産業を守るのではなく、ヨーロッパ全体の経済を効率化するために。。。
経済だけでなく・・・いろいろ統一しよう・・・
と、EC=欧州共同体となります。
ひとつの国のようになるために・・・。
そして・・・一挙にヨーロッパの国々がまとまって一つの国に向かって進もう!!と生まれたのが、EU=欧州連合です。
加盟国は・・・ベルギー・ドイツ・デンマーク・フランス・イギリス・ルクセンブルク・ギリシア・オランダ・アイルランド・イタリア・スペイン・ポルトガルです。
EUは、12か国が参加して始まりました。
12・・・ダースは、完成された数というイメージがあります。
そして、ヨーロッパ連合に参加している国は、自国の旗と共に、EUの旗も掲げています。
いろいろな国が参加して・・・加盟国は28か国となりました。
スイスはEUに入らず、永世中立国(連盟・同盟には参加しない国)となっています。
国連にも参加していませんでしたが、今は、国連には入っています。
ヨーロッパには、シェンゲン協定があります。
これは、欧州各国間を入国審査なし、パスポートチェックなしで移動できるというものですが・・・
EUの中にも、シェンゲン協定に入っていない国もあります。
が・・・スイスはシェンゲン協定には入っています。
国境をなくす・・・理想の実現に向かっているのです。
が・・・問題も起きてきています。
2010年アラブの春が起きて・・・
チュニジア・リビア・・・などから多くの難民が地中海を渡ってやって来ました。
転覆、火事・・・いろいろありで亡くなった人も多い中、とりあえず・・・イタリアまでやってきた人たち。
難民を受け入れてきたヨーロッパは、これを認めます。
その数は多く・・・
「難民は豊かなヨーロッパを目指している」
「イタリアにはどうせいつかないのでは??」
と、どんどんイタリアが受け入れたのです。
アフリカの難民はもちろんイタリアにはとどまらず、フランスを目指します。
大勢の難民がフランスに流れ込みます。
当時、フランス政府は、イタリアとフランスの間に入国審査所を作って、難民を入れないようにしたほどでした。
ヨーロッパは、国によって社会制度が全く違います。
デンマーク・フィンランド・スウェーデンなどは、社会制度が充実しています。
お金がないならば、社会制度が充実しているので、働かなくても自国にいた頃よりも、はるかにたくさんのお金をもらうことができます。おまけに、医療費・教育費は無料です。
アフリカの人たちにしてみれば、天国のような国でした。
難民が、デンマーク・フィンランド・スウェーデンにコミュニティを形成していきます。
アラビア語でイスラム教徒・・・突然そんな人がやってきて社会保障を要求します。
北欧の人々が税金で維持してきた社会保障制度にただ乗りをするのか??と、反発が起きます。
国境線をなくして一つの国にしようという理想のもとに、EUができました。
しかし、どんどん他国の難民が来て、それを受け入れるのかどうか??大きな問題となっています。
東西冷戦が終わって・・・
社会主義の国がEUに入ってくるようになりました。
経済が停滞し、貧しい国の人々です。
豊かな生活を求めて、フランスやドイツにやって来ます。
つまり、EU加盟国からの移民と、アフリカからの難民を受け入れざるを得ない状況下で、それに反感・不満・反発が非常に高くなってきているのです。
それが今のEUなのです。
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